Nutubeで作る自作エフェクター・コンテスト

Nutube搭載エフェクターの設計者、求む!

抜群に音がいいけど、大きくて壊れやすく、扱いづらい電子部品であったはずの真空管。それを小さく、使いやすい形に再構築した夢の電子部品が“Nutube”。オーディオ・アンプに、ギター・アンプに、考えられる用途は無限大!
そんな最新部品を使ってのエフェクター作りに挑戦したい人を大募集します。

真空管を搭載したペダル型エフェクターを設計すること、それはペダル・デザイナーにとって大きな「ロマン」の1つです。
エフェクターを作っている人なら、一度は挑戦したいテーマなのではないでしょうか。
しかし大規模メーカーならいざしらす、個人ビルダーにとって、真空管はなかなか手が出せない領域です。
電源や熱の問題、回路設計の煩わしさ、真空管自体の個体差など、そこにはお手軽にはチャレンジできない様々な敷居がそびえ立っていました。
そもそも真空管を9V程度の電圧で動かしたところで、本当にチューブライクな音色が得られるのか?という疑問も、着手に二の足を踏ませる要因だったかもしれません。“Nutube”はそうしたハードルを一気に下げます。
従来の三極管とほぼ同じ動作を実現しながらも、低電圧駆動を実現した上、小型化にも成功し、エフェクター回路にも最適と言えるでしょう。
世界中のペダル・ビルダーに真空管が手軽に使えるようなったことを知らせたい、Nutubeを活用した製品がどんどん開発されてほしいという想いに駆られ、「自作エフェクター・コンテスト」を開催することになりました。エフェクターの自作は既に行なっているけど、真空管の動作は勉強しないと分からないという方も大丈夫。
エフェクター専門誌「The EFFECTOR BOOK」にも登場するプロのペダル・デザイナーたち、執筆陣の協力を仰ぎ、本サイトにて作例や解説を公開します。
それを参考にするもよし、アレンジして設計するのもアリです。
もちろん腕に覚えのある実力派からの挑戦も大歓迎です。
Nutubeを搭載したストンプ型エフェクターであれば機能はなんでもOKです。
審査員をあっと言わせるユニーク・モデルが作れれば、それをきっかけに世界的なペダル・デザイナーになれるかもしれませんよ?
みなさん、ぜひ自由な発想でチャレンジしてみてください。

コンテスト概要

■審査員(予定)
・KORG Nutube開発チーム ・The EFFECTOR BOOK編集部 ・MASF Pedals
・エンドウ.(GEEKS/BLACKEND) ・Ovaltone ・スペシャル・ゲスト・ミュージシャン(調整中)

■最優秀賞:1名
賞品:Nutube×10個
副賞1:The EFFECTOR BOOKにインタビューを掲載(※1)
副賞2:「Nutubeビルダー・サミット」にご招待(※2)

■優秀賞:2名
賞品:Nutube×5個
副賞:「Nutubeビルダー・サミット」にご招待!

※1 応募作品に関しては、外観、内部などがNutube特設サイト及びエフェクターブック誌面にて公開される可能性があります。あらかじめご了承ください(回路図の公開は致しません)。製作したエフェクター回路の権利は製作者に帰属致します。

※2 副賞の「Nutubeビルダー・サミット」は、2017年2月上旬に都内某所にて開催する予定です。優秀作品の製作者、Nutube開発チーム、審査員、ミュージシャンなどを招いた招待者限定イベントとしての実施を予定しています。

募集概要

■応募資格
プロ・アマ、国籍、性別を問わずエフェクターの自作ができる人(実験・製作に必要なNutubeは各自でご購入ください)。

■応募方法
規定の応募用紙に必要事項を記入し、エフェクター、回路図といっしょに下記に送付してください
(応募用紙はこちらからダウンロード)。

〒206-0812
東京都稲城市矢野口4015-2
株式会社コルグ マーケティング部 Nutubeコンテスト係

■締め切り
2017年1月17日(火)必着。送料は応募者様がご負担ください。応募作品はコンテストの終了後、返却致します。

■コンテストに関するお問い合わせ
korgnutube.comサイト内の「 問い合わせフォーム」よりお問い合わせ願います。

作例1

ovaltone_logo
今回は「Nutubeがどういう音がするものなのか」という興味から、2回路入っているうちの1回路を使ってシンプルなブースターを試作してみました。
まず音を出してみて「真空管だなあ!」と思いました。それもなんというかエフェクターに無理に積んで潰れすぎたり不自然に暖かすぎたりという感じではなくて、良い意味で普通の音というか、スッと出てツヤがある、アタックもプリッとする。そして歪ませていってもスムースで、 こんなデバイスが登場して、しかも部品として入手できるようになったなんて素晴らしすぎます。自作にあたっては真空管ということで身構えてしまうかもしれないですが、結構感覚的に軽く使っていけるような気がします。なんといっても用意する電源の容易さや、発熱が少ない点など今までの真空管の比ではなくお手軽ですから、自分も色々なところに積極的に取り入れていきたいです。
KORGさん公式の使用ガイドのページがとても丁寧なので、なぞっていけば普通に使えると思います。唯一心配なのがマイクロフォニックノイズでしたが、これも公式ガイドにならってクッションでの対策を実験してみました。

実際に試してみると案ずるより産むが易しで、対策さえきちんとすれば問題を感じることはありませんでした。

あと、フィラメントの定格を超えてしまうと壊れてしまうので、ここは公式にならった方がよさそうです。
自分の場合は少し下げ目の音がより好みでしたが、それはまた違う機会に試してみたいです。

「2011年設立。Oval(卵型の、楕円の)という名前が示すような自然で音楽的な音色、弾き心地を目指し、オリジナル回路によるハンドメイドエフェクターを製造しています。」

回路図


nutubeboost2.pdf

実体配線図


nutubeovaltonepartslayout_re

作例2

エンドウ.
どーもエンドウ.です。ギターアンプやエフェクター関連に頻繁に利用される真空管といえば12AX7という双三極管があります。恐らくギター界では圧倒的な登場率の同真空管ですが、Nutubeをそれに置き換えてそのまま真空管ギターアンプのプリアンプ部分をエフェクターにしてしまおうと考えました。

まずは本機の電源電圧を決めます。これは真空管アンプを設計する際の基本的なコツのひとつでもあります。Nutubeは9Vでも十分設計可能なようですが、増幅回路部分の電源が9Vだと増幅率を稼ぐのがやや面倒になります。交流18Vのアダプタを整流して30V近い電源を作ると増幅回路は楽ですが、電源部に整流回路を作らなくてはいけないのでそれも却下。そこで手元にあった直流12Vアダプタ(Maxonのセンタープラス200mA)を使い、増幅回路用の電圧、フィラメント電圧、バイアス電圧の全てをこれで賄うことにしました。ちなみに秋葉原で6~700円で売っているスイッチング式の直流12Vの小さなアダプタは、きちんとしたリプル除去回路を追加しないと高周波ノイズが酷くて使い物になりませんでした(本機はできる限り部品点数を減らしていますので、逆電圧防止機構など用意されておりません。ですので絶対センタープラス12Vのアダプタ以外使用しないでください)。

電源電圧を決めたら次はヒーター回路です。Nutubeではフィラメントと呼ぶようですね。フィラメントの点灯方式は電圧のばらつきを抑えるために全部を並列接続としました。消費電流量が多くなってしまいますが止むを得ません。その分抵抗が1つで済みます。ちなみにNutubeの場合、緑色に光っている部分はフィラメントではなくアノードだそうです。全部直列では緑色に光らないアノードが出てきますのでやめた方が良いです。フィラメント電圧は0.3Vでもアノード点灯しましたが音は出ません。大体0.5V以上の電圧が無いとダメでした。本機は0.66Vくらいで動かしています。

もうひとつフィラメントの注意点ですが、フィラメント回路(通常の真空管ならばヒーター回路)だけを組み上げてもアノードは光りません。通常の真空管でしたら、まずはヒーター回路が完成したら点灯チェックを行い真空管が光るのを確認するのですが、Nutubeは光りません。アノード、グリッド、フィラメントすべての周囲に回路を形成してみると(アノード抵抗、グリッド抵抗)、ようやくアノードが緑色に光ります。フィラメント回路だけ組み上げて「光らない!Nutube壊れてる!」と早とちりしないようにしましょう。従来の真空管回路設計に慣れてしまっている人は要注意ですね。

次に増幅回路の設計です。ギターアンプのプリアンプ部を模すということで、半導体などでは増幅させず、Nutubeだけで直列4段増幅させる事にしました。通常のビンテージ真空管アンプはハイゲインタイプでも3段増幅がほとんどですが、12Vですとそこまでの増幅率を見込めないため増幅段を増やし4段としました。

通常の真空管回路設計ですと、データシートにある動作曲線にロードラインという線を引いて動作点を決めて設計するのですが、Nutubeのデータシートには特定の電圧とアノード抵抗値による増幅率(ゲイン、db)が載っているので、それに合わせてみました。

グリッドバイアスが2~3Vの時、12V電源の場合、アノード抵抗を330kにすれば14db(5倍)の増幅率となると書いてあり、またグラフを見れば12V電源の時に2Vのグリッドバイアスでは若干曲線の下部が寝ているので、なんとなく3Vくらいのグリッドバイアスを目指すことにします。またグリッド抵抗での電圧降下分を考慮して、バイアス電源は3.5Vくらいになるようにします。

電源電圧12Vはアダプタの電源をそのまま使いますので、バイアス電源3.5Vを作ります。データシートには「個体差を半固定抵抗などで微調整。一番ゲインが大きく取れる位置にバイアス電圧を設定する」とありますが、回路が面倒になるので無視しました。よって12Vを分圧して固定のバイアス3.5Vを作ることにします。実測ではバイアス電圧3.35Vになりました。大雑把ですが大丈夫でしょう。

あとは基本的な増幅回路を連結して、細かい音のデザインをしていくだけですが、ここで大きな問題に直面しました。Nutubeは増幅段をそのまま直列につないでいくとどんどんゲインが下がり、最後は音が消え去ってしまうのです。データシート上でも、入力段と出力段にFETによるバッファを奨励していますね。これはもうNutubeの内部抵抗だとかインピーダンスに関わる宿命ですので泣く泣く段間にFETバッファを入れます。まあ信号増幅はNutubeだけで行っているので良しとしましょう。せっかくの新世代真空管ですので、ビンテージギターアンプ的に半導体部品は使わないで作りたかったのですが残念。

新世代真空管ですが、従来の双三極真空管とは扱いが全く異なります。各段間にバッファが必要なこともそうですし、何しろ防熱管ではなく直熱管なので色々と設計が面倒です。フィラメントもかなりデリケートで、実はうっかりフィラメントに12V電圧が触れてしまい、高価なNutubeを3つも焼き切ってしまいました(KORG様すみません)。念のため1V以上の電圧はかけないように心がけましょう。そして極めつけはマイクロフォニックノイズ(電極に振動が伝わることによって発生するノイズ)です。尋常じゃないくらいキンキン言います。このあたりの振動対策はNutubeサイトに掲載されていますので、徹底的に実践することをお勧めします。本機は対策が甘いので、振動するとすぐにキーンキーンと鋭いノイズが発生します。

そんなNutubeですが、丁寧に設計すればとても素晴らしい音を出してくれます。さすが真空管ですね。全く同じ動作条件での検証はしていませんが、Nutubeはしっかり真空管の音がすると思います。それと本機は演奏に応じて緑色のの光が明滅します。そこがまた良い雰囲気。

twitter13

エンドウ.

東京生まれ東京育ちカレー大好き、大の嫌煙家。趣味はハンダごてと読書とゲームとアニメと漫画。
「ド素人のためのオリジナル・エフェクター製作」著者。GEEKSというものすごいカッコいいバンドのGt&Voをやりつつ様々なアーティストや作品に楽曲提供なども行う。
http://blackend.jp

回路図


Nutube回路図2

実体配線図


Nutube実体図

作例3

MASF_logo

Nutube Ring Modulator

僕が今回作ったリング・モジュレーターの構成をざっくりと乱暴に紹介しますね。まず前段でMOSFETを使ったブースターでゲインを調整して、Nutubeをブーストさせます。次にその音をリング・モジュレーター回路に突っ込むという、実に簡単な仕組みになっています。リング・モジュレーターの回路には色々な種類があるのですが、今回はこの回路を参考にする稀有な人がいないとも限らないので、応用を利かせやすいFETスタイルのフォトカプラーを使用してみました。といいつつも、国内にあるパーツ・ショップではFETスタイルものをあまり見かけないので、もしかしたら入手しづらいかもしれません。でも、その場合は一般的なフォト・トランジスタで応用できると思いますので安心してくだい。今回は、このフォトカプラーをオシレーターでAM変調させてリング・モジュレーターにしています。
ちなみに、開発の初期段階では完成したものとは逆の構成になっていたんですよ。最初は、リング・モジュレーターの音をNutubeで歪ませる仕組みにしようと考えていたんです。でも、それだとリング・モジュレーターをチューブ・アンプで鳴らすのと同じことですよね(泣)。せっかく足下に真空管サウンドが用意できるのであれば、前段にNutubeを持ってきた方が聴いたことのない音になるんじゃないかなと思って、このような構成に落ち着いたんです。
 とはいうものの、完成したモデルを色々と試してみると、Nutubeを後段に持ってくるやり方が一番使い勝手が良い気もしてきました……。その辺りの検証はみなさんにお任せいたします。もし気になった方がいたら、ぜひ作ってみてください!

TARO AIKO

数々の極端なエフェクターペダルやユーロラックモジュールを製作するM.A.S.F.のビルダーにして、エクストリーム音響集団ENDONのエレクトロニクス奏者。どちらも過剰な運動性とハードな趣向で多方面から評価を得ている。

回路図


ringnutube